会員コラム18

毎度、文書好きの nupri です。今月に入って 3冊購入しました。ひとつは F. グルニエ氏の 著作「フィールドワークで知るナマクアランド の多肉植物」でグラフィック社から、二つめは 龍膽寺 雄氏の「焼夷弾を浴びたシャボテン」 で平凡社から、そして最後が今回ご紹介する国 立天文台編の「理科年表2022(以下下二桁 で表記)」で丸善出版からのものです。


【この2冊は紹介しません。悪しからず。】


え、理科年表?サボテンに関係あるの?という声が聞こえてきそうです。はっきり申して直接の関係はありません。が、この中のデータを拾っていくと、栽培に何かしら役に立 つのではと思われるあれこれが浮かんできます。


【新旧そろい踏み】


理科年表を初めて入手したの は1979年のことで、当時は 東京天文台の編纂でした。山登りが好きだったので、気象のデ ータを知りたいと思ったのがき っかけです。この厚めの本の中で実際に使ったのはほんの 0.1% 位じゃないかと思いますが、それでもたまに開いて数字を眺め ているのは良い睡眠剤でした。

その後40年たった一昨年、なにかの弾みで最新刊が発行されたというのを知り、急に懐かしくなって書店に注文しま した。あれっ?厚くなっている、どうしたんだ、と目次をくってみると、生物だの環境だのといった項目が増えています。そうです、昔は理科とは謳っていても地学、物理学、化学といったところが占めていたのです。いやあ、アップデートしているなあとうれしくな りました。残念なのは動物の分類表と植物の分類表が隔年の交代と言うことで、22年版は動物でした。

そして今年でた22年版の大きな特徴は、10年ごとに見直される日本の気象データの平均値が変わった点です。最近は温暖化がよく言われますが、では札幌はどうかとみると、 20年版での月別平均値では一番寒い 1 月が22年版が 0.3 °C上がっています。5月8月は 0.6 °C上昇、変化のない月もありますが下がった月はありません。さらに1980年版と比較すると1月では 1.9 °Cも差があります。こちらもどの月も上昇しています。他に道内各振興局10カ所が載せられていますが、いずれも僅かではありますが暖かくなっているのが分かります。

まあ、こんなことは序の口で、他にも月ごとの各日の最高・最低気温平均値とか、降水量月ごと平均値、さらに降水量を 1mm 以上とか 5mm 以上とかに分けた月ごとの日数の平均値、日照時間の月別平均値など、実に興味深いデータが並びます。日本だけではありません。世界各地240地点の気温や降水量などもでています。1980年版は448地 点もありました。もっとも確実にサボテンや多肉植物のある地点はナミビアの Windhoek (これは旧版にはありません)、ボリビアのLaPazくらいです。

こうしたデータをどう活かすかはその人の考えによりますが、大まかに栽培方針を決めるときには参考にしていただけると、紹介した甲斐があります。大まかにと言ったのは、 栽培には micro climate(微気候)も考慮したいからです。

さて、長々と書いてきましたが、最後にクイズです。このブログが掲載されるのは冬至の後だと思います。冬至は1年で一番日照時間が短い日ですが、日の出時間が一番遅い訳ではありません。NHK のラジオの天気予報の話題に取り上げられたこともありますからご存じですよね?それでは、一番遅い日の出は冬至の日より早いのか、あるいは遅いのかをお答え下さい。では、良いお年を。


【サボテンや多肉がないと怒られそうなので、今年の実生苗の現況を。手前がピンボケなのはご容赦く ださい。】


【Titanopsis 2 species, Delosperma】

0コメント

  • 1000 / 1000