会員コラム37

 Nupriです。春の展示会から展示品には学名等を記したカード・スタンドをつけることになりました。

これまではラベルすらついていないことも多かったので、大きな前進だと思います。ただ、学名というものにあまり慣れていらっしゃらない例も多くみられました。正しく記入されていたのはざっと5名であったと記憶しています。そこで、簡単に学名についておさらいです。

 今回挙げる学名は属名と種名(種小名)とで最小単位とします。科名までつけると長くなりますし、多肉・サボ界では自明のこととされているようです。また、種名の後の命名者もつけないことにしましょう。さてどう書くかというと次のようになります。


Echinocactus horizonthalonius

属名                種小名

ご存じ太平丸ですが、前半の大文字で始まるのが属名、後半の小文字で始めるのが種名(種小名)となります。この両者はイタリック体(斜体)で書きます。

【 故土門初代会長から購入した太平丸】


種には亜種や変種などがあります。亜種には ssp. (subsp.) 変種には v. (var.)、品種(ここでいう品種とは花色などの小さな変異をあらわすものです。種とは異なるのでご注意)にはf. (forma)をつけます。ただこの記号はイタリック体にはしません。光琳玉の例を挙げます。

Gymnocalycium spegazzinii ssp. cardenasianum

属名           種小名          亜種名

【昔は独立種だったのになあ。これも世の流れなのか。ちと寂し~い。左はG. armatum ともされるJO600、右はVS505】


 現在の分類法では多くの亜種、変種が基準種に統合されたり、基準種自体が別のものにされたり、属自体が他の属と一つにまとめられたりと、私には追っかけることも困難な状態です。v. は今ではカタログ上で見かけるくらいになりました。昔は「バル(var.)だよ!」と販売者が言えば価格が吊り上がったということもあったようで、やはり普通と異なるものを求めるのは人の常なのでしょう。これまでのv. は種小名の後に引用符で記載されるようになっていますし、f.はほとんど見かけません。

 あと、栽培品種というのがあって、ハオルシアなんかではごまんとありますね。これは種名の後に引用符で囲って書きますが、ラテン語にはしません。つまり日本で作出されればローマ字で表します。万象の雷鳴ならば次のようになります。

 Haworthia maughanii ‘Raimei’

 雷鳴をローマ字書きにしたもの。イタリック体にはしない。

【茂吉氏から譲られた雷鳴。ハオはあまりにも品種が多くなりすぎて追いかける気がなくなりました。美しいのはよくわかりますが、そういったものは今では数本もあれば充分です。】


 とりあえずこのくらいを知っていればOKだと思います。「えーっ、横文字なんて面倒じゃあ。」とか、「読めねえ!」とお思いの方、学名の読み方は国によって変わる(なにせラテン語です。一定していません)そうなので、本やネットで出てきた読みでかまわないでしょう。「学名なんて知らなくたってかまわないもんね。」というあなた、それも結構でしょうが、会の展示品には学名を書くことになっていますので、いずれ考えを改めることになりますよ。

 そうだ、もう一つありました。たとえば属名をマミラリア、種名をプルモーサとカタカナで書く人がいます。植物園なんかでも見かける表記ですが、できれば原語をつけたいものです。植物園のラベルにだってカッコ書きで原語が書いてありませんか?なお、学名については山本規昭氏が「カクタスハンドブック」の中で、少なくともラベルに学名を書く習慣をつけておかないと世界に伍していけなくなるのではないかと危惧を表しています。


 別件ですが、今年の2月23日にメセンのConophytumが全種CITESのⅢ類にされたことをご存じの方も多いと思います。私は1月末にMesa Gardenに種子を発注していたのですが、2月末にメールが来て「コノがCITES のⅢ類になったので輸出が難しくなった。これまでの農務省の検疫証明に加えて魚類野生生物局からも証明書をとらねばならず、送料等も含めて$200以上の費用が必要になる。今回のことは当園、顧客双方に多大な負担がかかるので、当園としてはコノを輸出しないことにした。」とのこと。かの園が輸出を断念したようなので、「そういうことならコノはあきらめる」と返信しました。その分の代金を返金してくれたのはさすがはMesaではありますが、不思議なことに日本ではあまり騒ぎになっていないようです。まあ、Ⅰ類ではないのだからMesaの騒ぎのほうがおかしい、と後になって思うようになりました。ドイツのCono’s Paradiseは普通に販売しているようです。ここには今月9日に注文しましたが、なんの差しさわりもなく受け付けてもらえました。肝心のMesaはその後輸出に関するコメントがありません。群仙園さんはあまり気に留めていないようでした。

Mesemb Study Groupだけが記事を載せていました。ただ、これがいずれⅠ類に移行したり、ほかのメセンにも同じことが起こるのではないかと心配のNupriです。

【昨年Cono’s Paradiseから購入した数々。休眠明けして、動き出しています。】



【Mesa Gardenから来たメールの一部です。Mesaも大変だなあ。】

As of 02/23/2023 the International group that handles the CITES for the world has met and they have decided that Conophytum is now going to be on the CITES 3 listing. We are unable to ship seeds out of the US now without a Phytosanitary certificate and 2 other specialized certificates from a separate US government group called Fish and Wildlife. Fish and Wildlife is about the hardest group within the US government to work with. The total cost just for the permits and shipping is going to be over $200.00.

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